VPNで会社のストレージやパソコンに外部接続する便利な使い方
外出しているときに、手持ちのパソコンをVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を利用して社内ネットワークに接続すると、社内のLANにそのパソコンを接続したことと同じようになり、社内LANに接続された他のパソコンやサーバに、外部ネットワークからアクセスすることができます
このようなVPNを用いた外部接続が、一般的にどのように利用されているのかをご紹介いたします。
社内の共有ストレージにアクセス
ストレージとは、データを保存しておく媒体のことです。外付けのハードディスクやUSBメモリは、ストレージの一種です。データを共有できるストレージのことを共有ストレージといいます。
共有ストレージには、主にNASやファイルサーバがあります。これらは、24時間電源をONにしておいて、いつでも接続可能な状態にしてあります。
NASやファイルサーバは、社内LANに接続されて使用しますが、VPNを構築することによって、会社の外部からアクセスすることができます。
NASのファイル共有
NAS(Network Attached Storage)は、社内LANに接続されたデータ専用のストレージのことです。NASには、さまざまなメーカーや機種があり、社内LANに接続されたパソコンからアクセスすることができます。
最近市販されているNASの多くは、外部から接続する機能を持っています。その方法でよく利用されている方法として、ダイナミックDNSで接続するものがあります。
NASにダイナミックDNSで外部接続すると、NASのCPUに負担がかかり、データ転送の速度が落ちる場合があります。1人だけでNASを使用している分には、ほとんど気にならないと思いますが、社内外で多くの人がNASを利用するようになると、NASのCPUの負担が重くなり、データ転送が遅くなりやすいです。
NASにVPN接続した場合、VPN接続用のルータ内にあるCPUが、外部接続のための処理を代行してくれるようになるので、NASのCPUはデータ転送だけに集中できるようになるので、NAS本来の処理速度が出せるようになります。
また、ダイナミックDNSによる外部からの接続には、ハッキングの問題もあるようです。つまり、個人で利用する場合には、ダイナミックDNSでの接続は良いのですが、企業としてNASを外部接続で利用する場合は、VPNで接続した方が、安全にストレスなくデータの保存や共有ができるようになります。
ファイルサーバによるファイル共有
ファイルサーバとは、ファイル共有するために設定されたサーバのことです。サーバにインストールされるOSには、Windows ServerやLinuxが有名です。
サーバの種類は他にも、ホームページを公開するためのウェブサーバや、Eメールの送受信ができるメールサーバなど、さまざまな種類があります。このようなサーバの機能は、OSにデフォルトで含まれています。
NASはファイルの共有をすることを専門とした機械ですが、サーバでは複数の機能を持たせて使用する場合もあります。サーバは設定によって何でもできるのです。
ファイルサーバに外部から接続する方法は、NASの接続方法と同じです。ダイナミックDNSで接続すると、基本的にはNASによるファイル共有でもご説明したように、ファイルサーバも負荷がかかります。しかし、サーバは自作パソコンのように、高性能なCPUを搭載することも可能ですので、NASと比べたら、ストレスなく利用することができます。
ですので、ファイル共有の利用人数がさらに多くなると、NASよりもファイルサーバを設置される方がおすすめなのです。ところが、外部接続されたファイルサーバは、ハッキングなどのセキュリティの問題があり、それを解消するためのサーバ用のファイアウォールの導入はコストが高くなってしまうので、中小企業ではおすすめできません。
そこで、ファイルサーバを外部接続設定せずにローカルで使用し、その社内LAN回線にVPNでアクセスする方法がおすすめしています。
社内パソコンに保存されているファイルにアクセス
外に出ているときに、「会社のパソコンに入っているデータが欲しい」と思ったことはないでしょうか?
会社にあるパソコンに、外部からアクセスする方法にはさまざまありますが、VPNによる接続が現実的です。もちろん、会社のパソコンが起動していることが前提となります。
VPNで社内LANに接続できれば、社内のパソコンに接続し、ファイルが共有設定されていたら、そのファイルに簡単に、しかも安全にアクセスができます。
外部から会社のパソコンを操作
外出しているときに、「会社のパソコンを操作したい」と思う場面もあることでしょう。
外部のパソコンから、会社のパソコンに接続し操作する方法は、チームビューアといった専門のソフトウェアを利用する方法と、VPN接続してリモートディスクトップを利用する方法があります。
どちらの方法で接続しても、会社のパソコンに映っている画面を、外部のパソコンに表示させて、マウスやキーボードで会社のパソコンを操作できるようになります。
VPNで会社のWindowsパソコンに接続する方法
VPN接続で利用する方法は、社内LANに接続されたパソコンのOSがWindows Professionalであれば、まず社内用の固定IPアドレスを設定し、リモートディスクトップという機能を有効にします。そして、外部のパソコンから社内LANにVPN接続し、社内のパソコンにアクセスします。
なお、Windows Home Editionではリモートディスクトップを利用できません。また、会社のパソコンが起動していることが前提となります。
外出するときに持ち出したパソコンに、VPN接続するためのアイコンをディスクトップに置いておきます。そのアイコンをダブルクリックしたら、パスワードを入力する画面がでてきて、社内LANに接続することができます。
特定のパソコンに接続したい場合は、VPNに接続してからリモートディスクトップを用います。
リモートディスクトップの接続方法は、こちらのページに詳しく書かれていますので、ご参照ください。
外部から会社のパソコンに接続してできることは?
会社のパソコンがノートパソコンで、普段から持ち歩くことができたら問題ないことでしょう。会社ではノートパソコンを複数台のディスプレイに接続し、作業しやすくすることもできます。
しかし、会社のパソコンがディスクトップパソコンであれば、外部に持ち歩くことができません。
外部から会社のパソコンに接続できたら、外にいても会社のパソコンを利用して仕事ができるようになります。例えば次のような場面です。
- 会社のパソコンのメールを利用する
- やりかけの仕事の続きを外部で行う
- 会社のパソコンのファイルを取り寄せる
- 会計ソフトや販売管理ソフトを操作する
会社のパソコンのメールを利用するメリット
中小企業の社長さんは、営業で外に出られる方が多いことでしょう。外に出ていてもメールのやり取りが頻繁に発生してしまいます。場合によっては、緊急性の高いメールもあるはずです。
外部のパソコンで、会社のパソコンと同じメールアドレスを利用すると、何かと不便です。1つのメールアドレスを複数台のパソコンで利用すると、メールがどのパソコンに届いたかがわからなくなったり、別のパソコンで過去に送信したメールの内容が見られなくなったりするからです。
また、外部ではフリーメールを利用される人もいます。しかし、業務用のメールにフリーメールを利用することは、セキュリティ上の問題があったり、企業としての信頼性が低く見られたりするデメリットがあります。
VPN接続で会社のパソコンに直接アクセスすることができれば、外出していても会社のパソコンにアクセスして、そのパソコンを介してメールの確認や送信ができます。
VPN接続の導入をご支援させていただいたお客様の多くが、「メールが1台のパソコンで管理できるようになり、混乱しなくなった。」と喜ばれます。
やりかけの仕事の続きを外部で行う
都市部のコーヒーショップでは、パソコンを開いて仕事をしている人を多く見かけるようになりましたが、VPNで会社のパソコンに接続して仕事をすることができます。
また最近では、外部でパソコンを利用するだけでなく、在宅ワークで会社のパソコンにアクセスすることも多くなりました。この場合にもVPNがとても有効です。当社でも、「会社と従業員の自宅とをVPN接続してもらいたい。」というご要望が増えてまいりました。
在宅ワークで会社のパソコンにVPN接続したい場面とは、会社パソコンにインストールされた会計ソフトや販売管理ソフトにアクセスするためです。VPN接続で利用することで、外部のパソコンや自宅のパソコンにデータを持たなくても良いので、データ利用の安全性が高まります。
当社では、会計王や販売王などのソリマチ製品の代理店をしています。実は、ソリマチ製品は、VPN接続をすることで外部からシステムにアクセスし、クラウドのように利用することができます。
会計ソフトや販売管理ソフトなどのデータを外部のサーバに置きたくないと考える企業が、少なからずあります。ソリマチ製品などのオンプレミス型のシステムを導入して、外部からはVPN接続でシステムが入ったパソコンにアクセスし、クラウドのように利用するというケースです。
この要領で、顧客データや個人情報などの機密性が求められるデータを、外部に持ち出さずに確認することができるということで、VPNを利用される企業様もいらっしゃいます。
VPN構築ならオピフィクスにお任せください
例えば、本社が東京に、支店が名古屋にある企業であれば、VPNにて東京と名古屋で拠点間通信を行い、ファイルサーバの共有や内線電話の接続なども可能です。また、名古屋の企業で、子育てをしたい内勤スタッフが在宅ワークをされる場合に、会社と自宅をVPNで接続して、経理処理を引き続き行うようにしたケースもあります。
初めてVPNを導入された方にも安心してご利用いただけるように、パソコン用語が苦手な人でもVPN接続ができるように、パソコンにVPNのショートカットアイコンを作成したり、オリジナルの操作マニュアルを用いて丁寧に説明したりもいたします。
また、VPNルータが故障してもすぐに交換対応ができるように、VPNルータをいくつか在庫しています。
実績があり、緊急対応のフットワークが軽いVPN接続業者をお探しなら、オピフィクスまでご相談ください。