VPNによる内線電話化で音声をクリアにする方法
IP電話を導入して、本社と支店などの拠点間を内線電話で接続したときに、IP電話の音声が途切れたり、聞こえなくなったりして、通話に支障をきたすことがあります。
その原因は、インターネット回線の混雑の場合がほとんどです。IP電話のインターネット回線は次の2種類を利用します。このどちらかが混雑しています。
プロバイダとは、自社のコンピュータをインターネットに接続するための業者のことです。VPNとは、インターネット回線をまるでLANのように仮想空間を構築して接続する方法です。
当社では、IP電話やVPN接続の工事を、長年行ってきました。その経験から、この2つそれぞれにて、混雑する理由や解消方法をご説明いたします。
プロバイダ側の混雑
インターネットの接続はプロバイダを経由して接続されます。プロバイダのインターネット回線の混雑によって、IP電話の音声が不鮮明になる場合があります。
プロバイダのインターネット回線が混雑する原因
プロバイダには、人気のプロバイダもあれば、あまり登録者数の多くないプロバイダもあります。
プロバイダの混雑度合いは、プロバイダの登録者人数、もしくは利用者がどの程度インターネットを利用しているのかによって異なります。
また、人気の高いプロバイダは混雑するのかと言えば、そうではありません。ユーザ数の多いプロバイダは、インターネット回線が太いので、大量のデータを送受信できるようにしているのです。
プロバイダの利用者が多く、大量のデータを送受信しており、なおかつプロバイダのインターネット回線が細い場合には、インターネット回線が混雑して、IP電話の音声が悪くなります。そのときは、ホームページを見ようとしたときに、ホームページが開く速度も遅くなっていると思います。
では、「IP電話の音声がクリアでない場合は、ずっと続くのか?」と言えばそうではありません。たまたまインターネット回線が混雑していて、クリアでないときもあるのです。
もし、昼間の電話がよくかかってくる時間帯に、IP電話の音声がクリアでなくなるようであれば、それはお仕事に支障をきたすため、対策をすべきでしょう。
プロバイダ側が原因かどうかの点検と対策
IP電話の音声がクリアでない理由が「プロバイダ側が原因かどうか?」を調べる方法は、インターネット回線の速度チェックを行います。
インターネット回線の速度チェックとして、疑似的なデータをパケット送信し、そのデータパケットが滞りなく送受信されているのか、送受信が途中で止まったりしないかを点検します。
もし、インターネット回線の速度チェックをして問題があると判断された場合には、お客様の環境にて、テスト的にプロバイダを変えてみて、音声がクリアになるのかを実験します。
それで解決した場合は、プロバイダの混雑が原因の可能性が高いので、契約中のプロバイダを止めて、回線速度の速いプロバイダに変えることをおすすめしています。
自社のVPN側の混雑
VPNとは、バーチャル・プライベート・ネットワークの略で、インターネット回線に仮想のプライベートネットワークを構築し、離れた場所でも、あたかもLANでつながっているかのように、ネット回線を利用ができます。
LANで接続された場所であれば、IP電話を導入することで、内線電話のように接続できます。
VPNが混雑する原因
VPNを利用すると、離れた場所でも、安全なデータ送受信が可能となります。その性質を利用して、IP電話以外にもさまざまなことができます。
- ファイルサーバのデータを1か所で管理して、日本全国の拠点からファイルサーバにアクセスできる。
- 経理ソフトや販売管理ソフトを、外出先からログインして利用できる。
- 離れた場所のビデオカメラの動画を、別の場所で確認できる。
IP電話以外に、このようなことでVPN回線を利用していると、プロバイダのインターネット回線の速度は問題なくても、VPN回線の方が混雑してしまって、IP電話の音声が不鮮明になることがあります。
つまり、VPN回線が混雑していると、音声パケットが混雑してパケットロスという現象が起き、音声データが相手側に届かないことが起きるのです。
VPN側が問題かを点検する方法
VPNの回線が混雑しているかどうかの点検は、VPNルータの管理画面を開いて、パケット送受信がどの程度行われているのかを点検します。
頻繁にデータの送受信が行われているようであれば、そのデータ量が問題です。誰かが重たいデータを送受信している可能性もあるので、重たいデータの送受信をしているパソコンを突きとめることもできます。
VPNルータの設定による対策
VPN回線が混雑しているようであれば、IP電話の音声パケットを優先的に送受信ができるように設定すると良いでしょう。VPNルータのQoSというものを設定して、IP電話の音声を優先して送受信するようにできます。すると、IP電話の音声がクリアになります。
QoSによる優先パケットの設定は、バス専用レーンと同じ要領です。
名古屋市内の道路にはバス専用レーンがあり、一定の時間内は、一般自動車はバス専用レーンを通ることができません。優先されたバスは専用レーンを通って、渋滞なしに通ることができます。
QoSでは、帯域制御や優先制御という方法がありますが、分かりやすく言えば、音声パケットを優先的に通すことをします。QoSの設定方法は、VPNルータに直接コードを書き込み、音声パケットの優先度を高める設定をします。
QoSの設定も当社にて行っておりますので、VPNによる内線電話の音声が悪くてお困りの方は、お気軽にご相談ください。
当社は、愛知県を中心にIP電話やVPN回線の敷設を請け負っている業者です。IP電話の音声が途切れたり、聞こえなくなったりすることが頻発する場合は、ぜひ当社にご相談ください。